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2008年07月17日 (木) | Edit |
ここは東京の、とあるホテルのメイン・バー。
東京といっても、中心部からはずいぶんと外れた、山の中の廃墟のような安ホテル。
12月の灰色の寒空のせいで、よけいに排他的にみえる。

僕は、初めての出張と、大都会の喧騒に心身がまいっていた。

PM11時32分
「疲れがとれるような酒がないかな?」

バーテンは、何も言わず、小さなグラスに透明の液体を入れ、
僕の、目の前にスッと置いた。

僕は、それを一気に飲み干した。
(くっ・・臭い・・・なんだこの酒は・・・)
ヒドイな、これは。
僕が、バーテンに文句を言おうとした瞬間、体の力がガクッと抜けた。
めまいがする。店中が歪んで見える。

意識朦朧としながら、とにかくこのバーから出ることにした。
あちこちに体をぶつけながら、803号室にたどり着いた。
鍵を差し込むのに四苦八苦しながら、やっとドアノブを回して、
そのまま、ベッドの上に倒れこんだ。

PM11時59分
ああ・・あと1分で明日になるのか。もう少しで、明日になるのか。
・・・今日は・・・昨日・・・、今日は・・・あした・・。
うなされながら、眠りについた。

PM01時05分
暑い・・・暑い・・暖房を止めてくれ・・・
意識混濁のまま上着を脱いだ。

窓から差し込む夏の日差しが、部屋を蒸し暑くしている。

PM05時43分
寒い・・・今度は寒い・・・・なんなんだ・・このホテルは・・

PM06時17分
「あしたは、パパの誕生日だね。」
「そうね。でも、今年もまた、私たち2人だけで、お誕生日パーティーね。」

聞いたことのある声に、僕は、ふと気がついて体を起こした。
周りを見渡したが、誰もいない。

「パパ、私よ。」
「・・・全然、気づいてくれないわね。」

誰の声だか、思い出せない。
体が軽い。頭もスッキリしている。
昨晩のあのまずい酒が、効いているんだろうか?
僕はトイレに行くために、たったひとりの薄暗い廊下を、静かに歩いた。

やけにアルコール臭い。

同じ廊下を戻り、部屋の前に立った。
ルームナンバーは、「308」。
ドアを開けて、中に入った。

ベッドに向かう後ろで、スライド式のドアがゆっくりと閉じた。


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↑あんまり変な酒は、飲まないほうがいい
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コメント
この記事へのコメント
交差点じゃなく喫茶店?
2008/07/17(Thu) 06:41 | URL  | ロドネー #-[ 編集]
リストラ社員に活力を
次はバーテンダーからの視点の記事よろぴくー。
人間観察系がいいー。
ホラー系はちと苦手ー ><
2008/07/17(Thu) 15:17 | URL  | 会社員 猫田 #-[ 編集]
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